医療費控除とメディケーション税制の注意点

前回のブログで花粉症の市販薬について書きましたが、今回は医療費控除とメディケーション税制の注意点についていくつか挙げてみたいと思います。
セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、従来の医療費控除との選択適用となりますので、いずれか一方を選択して適用を受けることになります。

[医療費控除についての注意点]

・花粉症や風邪薬などの市販薬も、治療目的であれば医療費控除の対象になります。

・歯科矯正の費用については、発育段階にある子供の歯並びを矯正するための費用は慰労費控除の対象となりますが、容貌を美化したりするなどのための費用は、対象になりません。
子供の歯科矯正は80万円前後かかることが多いようです。医療費控除の対象にならないと思っている方が意外と多いので、ご注意下さいね。

・平成28年分の確定申告書までは、医療費控除の適用を受けるためには、医療費の領収書を添付又は提示する必要がありましたが、平成29年分の確定申告書からは、「医療費の明細書」又は「医療保険者等の医療費通知書」を添付することに変更されます。だだし、変更後も確定申告期限から5年間は、領収書を保管しなければなりません。
経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、改正前の医療費の領収書の添付又は提示をすることで、医療費控除の適用を受けることができます。
この改正は、後で説明する「セルフメディケーション税制」についても同様です。

・医療費控除の金額は、次の式で計算した金額です。
(実際に支払った医療費の合計額ー保険金などで補填される金額)ー10万円 又は 総所得金額等の5% (最高で200万円)

この 総所得金額等の5% というのがポイントで、「医療費控除は医療費が10万円を超えないと受けられない」と思っている方が多いのですが、総所得金額が200万円未満の人は、医療費が10万円未満でも適用されます。
例えば、総所得金額が100万円であれば、100万円×5%=5万円 を医療費が超えれば、医療費控除の適用を受けることができます。

 

[セルフメディケーション税制について]

<概要>
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、生計を一にする(=日常生活の資金を共にする)配偶者や親族のために「を支払った場合には、セルフメディケーション税制の適用を受けることができます。

<摘要を受けるための条件>
セルフメディケーション税制の適用を受けようとする年分に、健康増進などの「一定の取組」を行っていなければなりません。生計を一にする配偶者や親族は、この「一定の取組」を行っていなくても構いません。

<特定一般用医療品等購入費」とは>
医師によって商法される医薬品から、ドラッグストアで購入できるスイッチOTC医薬品の購入費をいいます。セルフメディケーション税制の対象となるスイッチOTC医薬品の具体的な一覧はこちらです。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000167980.pdf

<控除額の計算方法>
(実際に支払った「特定一般用医療品等購入費」ー保険金などで補填される金額)ー1万2千円  (最高で8万8千円)

 

市販薬を買った時のレシートは取っておくようにしましょう。医療費のあまりかからない家庭でも、年の後半で意外と病院にかかってしまった、なんていうこともあり得ます。
その場合には、治療のために購入した市販薬のレシートも足して、医療費控除の計算をしましょう。
ただ、セルフメディケーション税制については、今のところ対象となるスイッチOTC医薬品の購入額が高額になる人は少ないと思うので、メリットは少ないように思います。